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道路

優れた耐久性と経済性

道路用鉄鋼スラグは、高炉スラグおよび製鋼スラグを破砕・整粒し舗装用素材として製造するもので、それぞれを単体または混合して製造する路盤材料や、製鋼スラグから製造するアスファルト混合物用骨材として使用されています。
鉄鋼スラグの道路用材料への活用は、1960年代から研究が開始され、エージング技術、粒度構成などの重要な技術が開発されました。その結果、設計施工指針が形成され、アスファルト舗装基準に組み込まれました。
さらに1979年にはJISが制定され、環境安全面での品質基準を取り入れる等、数回の改定を経て現在のJIS A 5015に至っています。

鉄鋼スラグ混入路盤材

代表的な鉄鋼スラグ路盤材料である水硬性粒度調整スラグ「HMS-25(※)」は、長期間にわたって硬化するため、その特長を活かした利用により、一般の砕石(粒度調整砕石)よりも断面を薄くすることができます。また、施工直後の交通解放が可能、作業中に雨が降り出した場合にも路盤の締め固め作業が続行可能など、良好な施工性も高く評価されています。製鋼スラグは、路盤材としての利用の他、硬質かつ耐摩擦性に優れていることからアスファルト混合物の骨材としても使用されています。
2002年度には鉄鋼スラグ混入路盤材と鉄鋼スラグ混入アスファルト混合物が、グリーン購入法における特定調達品目に指定されており、環境保全に資する材料として広く認知されています。

鉄鋼スラグ路盤材と天然資材との比較

黄色水・膨張崩壊対策はエージングで解決

高炉スラグには少量の硫黄が含まれています。硫黄は水と接触すると黄色に変色したり、温泉臭がすることがありますが、この現象を防止するため、破砕後に空気と硫黄を反応させ安定したチオ硫酸イオンや硫酸イオンに酸化させたり、炭酸ガスで中性化し黄色水の色や臭気を消失させるエージングを行っています。エージングは、破砕・ふるい分けした製造直後品を安定するまでヤードに積み付ける方法で実施されています。製鋼スラグもまたエージングを行っています。製鋼原料(銑鉄、スクラップ)の精錬に用いる生石灰は、十分に溶解されないと不安定なままスラグ中に残存する場合があります。この溶解不十分な生石灰は遊離石灰と呼ばれ、水と反応すると体積が膨張するため、アスファルトが下から押されて破壊される花咲き現象(ポップアウト)を起こす場合があります。この現象を防止するため、エージングによって事前に遊離石灰を水分と反応させて消石灰に変え、体積を安定させています。エージングには蒸気または高圧蒸気の高温と水を利用して反応を促進する方法や破砕後安定化するまでヤードに積み付ける方法があります。膨張安定性評価の指標である水浸膨張比の規格値は、平成27年の「鉄鋼スラグ路盤設計施工指針」発刊時に検討し、規格値を1.5% から1.0% に厳格化しました。

使用例

東九州自動車道(NEXCO 西日本提供)
東九州自動車道(NEXCO 西日本提供)
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