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コンクリート用骨材
高炉スラグ骨材と電気炉酸化スラグ骨材
鉄鋼スラグから製造されるコンクリート用骨材としては、高炉スラグ骨材と電気炉酸化スラグ骨材があり、それぞれに粗骨材と細骨材があります。溶融状態の高炉スラグを徐冷し、粒度調整したものが高炉スラグ粗骨材、水で急冷した水砕スラグを粒度調整したものが高炉スラグ細骨材です。電気炉酸化スラグ骨材は電気炉から取り出された溶融スラグを徐冷または水や空気などで急冷し、粒度調整して造られた骨材です。
高炉スラグ骨材は、1977年に粗骨材、1981年に細骨材のJISが制定され、さらに日本建築学会や土木学会の各種指針に織り込まれ、主要なコンクリート骨材の一つとして広く使用されています。電気炉酸化スラグ骨材も2003年にJISが制定され、利用が進みつつあります。
細骨材と粗骨材


高炉スラグ細骨材の製造フロー例

鉄鋼スラグ骨材の特徴
鉄鋼スラグ骨材は適切な品質管理のもとで製造された工業製品であり、コンクリートの耐久性に影響を及ぼす有機不純物や粘土、貝殻などを含まないこと、品質のばらつきが少ないことなどの優位な特徴があります。
これらに加えて、最近高炉スラグ細骨材にはコンクリートの乾燥収縮を抑制する効果、耐硫酸性や凍結融解抵抗性を向上させる効果があることが注目されています。適切な配合、施工と組み合わせることによりコンクリートの耐久性向上への寄与が期待されます。電気炉酸化スラグ骨材は、絶乾密度が約3.6g/cm³と他の骨材に比べて高いという特長を生かし、放射線遮蔽用コンクリートや重量コンクリートにも適用されています。
両骨材のJISには、2013年の改正で環境に対する安全性の観点から溶出量と含有量の規定が導入され、より安心して使用できるコンクリート用骨材として認知されています。
鉄鋼スラグ骨材の特徴
- 有機不純物、粘土、貝殻などを含まない、均一な化学成分の工業製品である。
- 天然砂利や砕石の代わりとして使用することで貴重な天然資源の保全に貢献する。
天然骨材の代替材として環境保全に貢献
2006年の瀬戸内海における海砂採取全面禁止や中国産砂の禁輸による海外砂の輸入減少を契機に、天然骨材枯渇への対応という社会的ニーズが高まり、鉄鋼スラグ骨材の販売量は大幅に増えました。高炉スラグ骨材は2002年度、電気炉酸化スラグ骨材は2005年度にグリーン購入法に基づく特定調達品目に指定されており、天然資源の開発抑制による環境保全や天然資源採掘時の使用エネルギー及びそれに伴い発生するCO2削減に貢献する環境資材として高く評価されています。