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肥料
鉄鋼スラグを原料とする肥料は農林水産省が定める「肥料の品質の確保等に関する法律」に規格が定められています。主な規格には「鉱さいけい酸質肥料」「副産石灰肥料」「鉱さいりん酸肥料」「副産肥料」などがあります。鉄鋼スラグの内、高炉スラグは肥料成分である酸化カルシウム(CaO)、ケイ酸(SiO2)、苦土(MgO)を含有し、製鋼スラグは酸化カルシウム、ケイ酸、苦土の他に、酸化鉄(FeO)、酸化マンガン(MnO)、リン酸(P2O5)などを含有します。
高炉スラグを原料とする肥料は主に稲作に、製鋼スラグを原料とする肥料は稲作の他に畑作、牧草用として広く利用されています。
ケイ酸の必要量(10aあたり)

稲作への効果(高炉スラグ肥料、製鋼スラグ肥料)
鉄鋼スラグ肥料の施用

ケイ酸の効果
- ①葉の受光体態勢が向上、光合成が促進します。
- ②茎を丈夫にし、倒伏を防ぎます。
- ③葉身や茎が硬くなり、いもち病菌やニカメイチュウの侵入を抑制します。
- ④ケイ素が表皮のクチクラ層の下に集積し、クチクラ蒸散を抑制することで、高温時でも気孔蒸散が維持され稲体温度の上昇を抑えます。
- ⑤根の酸化力の促進による根の活力を向上させます。
アルカリ分の効果
- 土壌のpHを上昇させます。
- pH改良により生稲わらの分解を促進します。
- 作物の育成に適したpHを維持します。
鉄・マンガンの効果
(製鋼スラグ肥料)
- 異常還元の抑制により根腐れを防止します。
水稲の登熟期間の高温障害等による産米の品質・収量低下が顕著です。スラグ肥料をはじめとする土づくり肥料の重要性が今見直されています。
畑作への効果(製鋼スラグ肥料)
根こぶ病、ホモプシス根腐れ病、フザリウム病害などは、土壌中の病原菌が根に感染して地上部を枯らす土壌病害の典型です。これらの病原菌は酸性土壌を好むことから、アルカリ分を土壌に施用して、pHを7.0~7.5に改良することで発病を抑制できます。但し、pHを高めすぎるとマンガン、ホウ素などの微量要素欠乏症が出やすくなります。
製鋼スラグ肥料には、土壌のpHを改善・持続させることができるアルカリ分の他に、鉄・マグネシウム・マンガン・ホウ素などのミネラル分が含まれており、農作物を元気にします。
持続性の高いpH矯正効果

ハクサイへのスラグ肥料の効果
スラグ区はpH5.7の圃場に製鐵スラグ肥料を投入し、pH7.5に調整。
製鋼スラグ肥料は、畑に鉄分、マグネシウム、マンガン等のミネラル分を供給するとともにpHの向上、維持に貢献します。


※製鋼スラグ肥料施用量28t/10a-20cm深
※施用量については、散布地の土壌、及び施用する製鋼スラグ肥料に関するpH緩衝曲線を作成するなど、農業指導員等にご相談して決定下さい。