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土木・港湾
天然砂より軽量
土工用水砕スラグは、護岸の裏込め、軟弱地盤対策用の覆土、路床、盛土などに利用されています。
砂状の水砕スラグは、天然砂と比べて軽量、せん断抵抗角が大きいという物理的、力学的特性を有しています。さらに、経時的に水和して固結する水硬性を有しており、地震時の液状化に対する抵抗性が大きくなります。護岸の裏込め、裏埋め材料として水砕スラグを用いると、軽いこと、せん断抵抗角が大きいことが効果的に作用して、前面の矢板などに働く主働土圧を大幅に減少させ、矢板の断面を小さくすることができます。
また、完全に固結すれば地震時に液状化しなくなるため、液状化対策が不要となります。軟弱地盤の覆土による改良に水砕スラグを用いた場合、軽いこと、水の影響を受けないこと、トラフィカビリティーに優れることから、軟弱層の側方流動の危険性や圧密沈下量も減少します。
水砕スラグで造成した路床は、軟弱地盤に適した軽い路体で、交通荷重に対して大きな変形を起こさず、十分な支持強度があります。また水硬性の発現により、繰り返し交通荷重の作用の下でも浸透水による強度低下を起こさないなどの特長があり、経済性、施工性はもちろんのこと、道路構造物としての耐久性にも優れています。
水砕スラグで盛土をする場合は軽量であること、せん断抵抗角が大きいことから、軟弱地盤の盛土工事においては、設計上有利となる場合があります。
土工用水砕スラグの特徴
- 天然砂と比べて軽量(湿潤単位体積質量 11~16 kN/m3)
- せん断抵抗角 35°以上、設計 CBR20~30%で、天然砂以上の強度を有する
- 水硬性により長期強度や耐久性が向上
- 固結していない場合の透水係数 10-2~10-4 m/s であり、良質な砂と同等以上
裏込め材の軽量化でコスト縮減 — 名古屋港飛鳥ふ頭南地区岸壁 —
2005年に共用開始された名古屋港飛島ふ頭南側コンテナターミナルは、水深16mの耐震強化岸壁であり、1万TEU(※)超のコンテナ船の接岸も可能な国内最大級のものです。
この岸壁の裏埋材を砕石などから水砕スラグに設計を見直すことで、前面の鋼管矢板や控え杭の断面を小さくすることができ、工事コストを大幅に縮減(国土交通省名古屋港湾事務所公表値:約18%縮減)できました。


超軟弱地盤の沈下対策 — 北九州空港 —
2000~2002年にかけて、北九州空港の軟弱地盤改良工事で約150万tの高炉水砕スラグが使われました。北九州空港は周防灘の沖合約3kmに建設され、北九州港や苅田港などの航路整備で発生する浚渫土を埋め立てに活用したため、超軟弱地盤の沈下対策が求められました。浚渫土は自然状態のままでは強固な地盤になるまでに、相当長期間かかると言われており、超軟弱地盤を早期に強固な地盤にするため、空港建設ではサンドマットを施工し、ペーパードレーン工法による地盤改良が行われました。高炉水砕スラグは、天然材と比べて軽量であるため、埋立地の沈下量を低減させることが評価され、サンドマット材の一部に採用されました。工事は新門司沖の第一工区で海砂層90cm厚の上に高炉水砕スラグ60cm厚(約55万m3)、第二工区で海砂層90cm厚の上に高炉水砕スラグ90cm厚(約65万m3)が敷設されました。

裏込め鋼矢板タイプとケーソンタイプ
